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借金・債務整理

自己破産

 自己破産とは,裁判所より破産手続開始決定(裁判所による支払い不能状態の認定)を受け,債務について免責決定を受けることで,債務の支払義務を免除してもらう制度です。

 しかしながら,誰でもこの制度の恩恵に与れるわけではなく,自己破産における障害事由がないかを検討しなければなりません。

 まず,免責不許可事由がないこと。浪費や財産隠匿行為等の免責不許可事由がある場合には,免責が許可されないことがあり,免責不許可事由の程度やそれに至った事情等を勘案したうえで,自己破産の申立を検討しなければなりません。

 次に,現在の職業において資格制限を受けないこと。例えば,警備員や保険外交員,宅建主任者といった職業の方は,破産決定と同時にその職業又は資格の制限を受けることになりますので,場合によっては職を失うことになり,債務は免除されても収入の元を断たれることになりかねず,自己破産を選択するに当たり,より慎重に検討する必要があります。

 このように,自己破産を選択するに当たって,様々な要因を勘案しなければならないだけでなく,自己破産の申立以外に方法がない場合でも,同時廃止型で申し立てるか,自由財産の拡張制度を利用するため管財型で申し立てるかなど,申し立てに当たっても様々な要因を考慮しなければならず,弁護士又は司法書士に相談されることをお勧めします。

【自己破産のメリット】
・税金や罰金等の一部の債務を除いて,債務の支払義務が免除される

【自己破産のデメリット】
・職業や資格の制限を受ける
・官報に住所氏名が掲載されるためDMや架空請求の対象となる虞がある
・一部の自由財産を除いて財産を処分しなければならない
・信用情報機関に事故情報として登録されるため一定期間新たな借入ができない

個人再生

 個人再生とは,債務の一部(最低弁済額)を,裁判所より認可された弁済計画のとおり弁済することによって,債務の残部について支払義務を免除してもらう制度です。

 個人再生には,将来において継続的な収入の見込みがある個人債務者で,住宅ローンを除く債務の総額が5,000万円以下のものを対象とした小規模個人再生と,上記個人債務者のうち,継続的収入が給与所得でありその額に大きな変動がないものを対象とした給与所得者等再生とがあります。詳しい説明は省略しますが,給与所得者等再生の場合,最低弁済額が高額になる場合が多く,一般的に利用されている小規模個人再生について説明をします。

 個人再生では自己破産と異なり,債務の一部を債権者に弁済しなければなりません。そして債権者に弁済しなければならない額(最低弁済額)は,次のいずれかの内,最も高い額が基準となります。
①100万円
②住宅ローンを除く債務総額について以下のとおり算出した額が,
・1,500万円以下の場合→債務の5分の1
・1,500万円超3,000万円以下の場合→300万円
・3,000万円超5,000万円以下の場合→債務額の10分の1
③精算価値(破産手続により債務者の財産を換価した場合に,債権者に配当できると予想される金額)

 上記により算定した最低弁済額を3年ないし5年で弁済する内容の計画案を裁判所に提出し,裁判所の認可を受ける必要があります。

 そして,個人再生の最大の特徴は,住宅ローンを他の一般債権と切り離し,他の一般債権だけを債務整理することができることです。すなわちマイホームを手放さずに,債務整理をすることが可能です。但し,現実問題として,マイホームを手放さずに債務整理ができるかどうかは別問題です。住宅ローンを抱えた多重債務者のほとんどが,住宅ローンの支払に充てるために,消費者金より借入を行っている場合が多く,実際,住宅ローンを抱えたままの個人再生は困難な場合が少なくありません。

【個人再生のメリット】
・原則として財産を処分せずに債務を圧縮することができる
・職業や資格の制限を受けない
・具体的な免責不許可事由がない

【個人再生のデメリット】
・一定額の弁済が必要である
・自己破産と比べ手続が煩雑で手続費用も高額である
・官報に住所氏名が掲載されるためDMや架空請求の対象となる虞がある
・信用情報機関に事故情報として登録されるため一定期間新たな借入ができない

特定調停

 特定調停とは,簡易裁判所で行われる調停(話合い)手続の一つで,調停委員と呼ばれる専門家による仲介のもと,特定債務者(支払不能に陥る虞がある債務者)と債権者双方の意見を調整し,返済条件等を変更して特定債務者の経済的再生を図る手続です。

 あくまでも当事者の合意によって債務内容を変更させるのであって,意見がどうしても折り合わない場合には調停は不成立となります。但し,裁判所は,調停が成立する見込みがない場合であっても,相当であると認めるときは,職権で調停に代わる決定をすることができます。

 調停が成立した場合には,調停調書が作成されますが,この調停調書は,判決と同じ効力があり,債務者が調書の内容に従った返済をしないとくは,債権者は,調停調書に基づいて債務者の財産の差し押さえることができます。

 特定調停で成立する合意内容は,任意整理におけるそれとほぼ同じであり,また,調停成立日までの遅延利息が付されるため,弁護士や司法書士が債務整理をする場合には,任意整理が主流であり,特定調停を申し立てることはほとんどないと思われます。但し,個人事業者等で,商工ローン等の債権者に対して手形を担保に差し入れている場合に,調停前の措置命令として手形の取立て及び処分禁止措置命令の申立てをするために特定調停を利用するケースがあります。

 ところで,以前は,弁護士や司法書士が関与しない特定調停で,引き直し計算もせず,不適切な内容の調停を成立させるような調停委員もおり,違法な特定調停に対する国賠訴訟が提起されたこともありましたが,現在では,そのような話も聞かなくなりましたので,弁護士や司法書士を関与させずに債務整理を行いたい方には有効な手続かと思われます。

【特定調停のメリット】
・原則として財産を処分する必要はない
・職業や資格の制限を受けない
・特定の債権者のみを相手方とすることもできる
・調停前の措置命令が利用できる

【特定調停のデメリット】
・調停成立日までの遅延損害金が付される
・調停調書による強制執行が可能となる
・信用情報機関に事故情報として登録されるため一定期間新たな借入ができない

任意整理

 任意整理とは,自己破産や個人再生等の,裁判所が関与する法的債務整理とは異なり,債権者と債務者との私的合意による債務整理手続です。

 当事者の合意による債務整理手続ですので,当事者さえ納得すればどのような内容であってもかまわない訳ですが,一般的には,東京の3弁護士会が公表している「三会統一基準」及びこれとほぼ同内容で日本司法書士会連合会が公表している「司法書士による任意整理の統一基準」に基づく内容で和解が成立しています。当事務所でも,上記基準に則って,各債権者と和解交渉を行います。

 具体的には,全ての取引履歴を開示を求め,利息制限法所定の利率によって引き直し計算をしたうえ,最終取引日における残元利金をもって債務を確定させ,将来利息を付さずに当該確定債務を3年から5年の分割弁済とする内容で,おおむね和解が成立しています。

 なお,任意整理においても,原則として債権者平等の原則を維持するべきかと考えますが,場合によっては一部の債権者とのみ任意整理することも可能です。

任意整理のメリット】
・原則として財産を処分する必要はない
・職業や資格の制限を受けない
・特定の債権者とのみ債務整理することもできる
・柔軟な弁済内容を定めることができる

【任意整理のデメリット】
・一括弁済の場合を除き,引き直し後の残元金を下回る減額交渉は困難
・法的債務整理と異なり各債権者と個別に対応しなければならず,手続が長期化する可能性がある
・信用情報機関に事故情報として登録されるため一定期間新たな借入ができない

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